朝ドラ「虎に翼」で、主人公の寅子のお義姉さん(花江さん)がそれまで家事の完璧を目指していて、それが辛くなってしまって、子どもたちに「手抜きをさせてください」という場面がありました。寅子の母(姑)のようにやろうとするけど、家事をやってもやっても終わらない…と涙ながらに話すんです。花江さんって自分のできないところを大っぴらにして、子どもたちに協力をお願いすることができるって、私はすごいなあと思いました。
私の母が完璧を目指すのは、花江さんと同じ原理だったんじゃないかと思いました。私の実家はいわゆる昔の家庭で、母は姑と舅、小姑から意地悪されて、父も味方にはなってくれなかったそうです。(子どものときになんとなく私も見かけたことがあったので、母の被害妄想ではなさそうです。)母は、私達子どもを大学まで出してやりたかったので、自分さえ我慢すれば済むと思って耐え抜いたと言っていました。結果、姑、舅とも最後まで一人で介護して看取りました。厳しい目が周りにある中で、「嫁として完璧にやらなければ」ということと、父も頼れないので「全て一人でこなさなければ」と思って、家のことも子育ても(父が自営業を始めたので会社の切り盛りも)完璧を目指すようになってしまったと思います。
私と兄も自分のことは自分でやるように育てられましたが、家事はほとんどやったことがありません。母を手伝うことはあっても、主になって台所仕事を任せられることはありませんでした。今考えれば、子どもに協力させてもおかしくないほど母は忙しかったと思います。どんなに忙しくても「ご飯作っといて」と甘えることはありませんでした。甘えたくても甘えられない状況だったんだと思います。また、田舎なので地域の目もあります。休みの日でも庭の手入れをして、「休めない」と言います。庭が手入れされず放置された状態だと地域の人から何と思われるか分からないと思っているようです。田舎で暮らすのも大変です。
私は大学生で一人暮らしを始めて、家のことが何もできないことに気づきました。そこから、料理や家の管理など一つ一つ、少しづつ覚えて行った感じです。「なんで今まで教えてくれなかったの」と言うと、母は「必要な時がくれば自然とできるようになるから大丈夫」とも言っていました。結局、結婚していないので急に困ることも実際になかったし、今はなんとなくいろいろできているので、結果、母の言う通りではあるんですが…。兄も同様に家のことは何もできません。一人暮らしの経験もないので本当に何もできないまま結婚生活に入りました。母の姿を見ているためか、どこか奥さんに母の役割も強要しているようなところもあったのかもしれません。結婚生活は行き詰まりました。
結論、育った環境は人それぞれ。生活環境で必要なスキルは自分で意識して身につけるしかないということだと思います。当たり前のことですね…