いらない命はない

私の祖父の話です。祖父は頑固で変わり者でした。若いときは鉄棒で大車輪ができたとホラを吹いたり、室内で風船で家族がバレーしていたら、「ガラスが割れる!」とキレたり…、あと覚えているのは、子供の頃こたつで私と兄と祖父の3人でよくテレビを見ていました。私と兄は夕方はアニメを見たかったのですが、祖父は相撲を見たがりました。決定権は祖父にあるので相撲をみるのですが、こたつのぽかぽか感で祖父がウトウトし始めるんです。私と兄は目で合図しながらチャンネルをアニメに変えると、祖父はなぜか目を覚ましてキレるということをエンドレスに繰り返す…とか。だいぶ歳をとって単車に乗るのは危ないからと家族に止められていたのに、コソコソ乗ろうとして家の前でコケて怪我する…母から聞いた話では祖父は働くのが嫌いで畑仕事に行くと嘘をついてよく川に釣りに行ったり…とか、実家のいろんな意味で伝説的な人です。なんか臭いし、意地悪だし、よくキレるし、子供の頃からずっと好きじゃなかった祖父は、私が高校1年のとき亡くなりました。そのとき、やっぱり悲しかったんですよね。そのとき、世の中になくていい命ってないんだなと言うことを理解しました。祖父が一つだけですが命をもって大切なことを教えてくれたんだなと思います。

ちょうど祖父がなくなった高校生の時に友達関係で悩んでいて、私は生きていてもしょうがないと思ったときも、仕事もせず生きている今も「いらない命はない」とあのとき思えたことが私を支えてくれているので祖父に感謝です。今、改めて思い返すと、両親は共働きだったため保育園のお迎えは祖父が自転車か単車で迎えに来てくれていました。そのときはおじいちゃん臭が嫌だな〜、なんで母が迎えに来てくれないんだろうと思っていたのですが、今思えば、仕事もサボりたい祖父が毎日忘れずに私を迎えに来てくれていたんだな…となんだかあったかい気持ちになります。いつもは自転車でのお迎えでしたが、たまに単車で来てくれるとちょっと嬉しかったです。保育園生だった私はそのありがたさに気づけていなかったし、口に出して「ありがとう」も言ってなかったことが心残りです。

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